あなたのことばかり

考えても考えても尽きることもなく

鮭味のおにぎりに拒絶反応を起こす受験生の話

 

土曜日、大学に行かなければならない。

受験以外で大学に行くのは実は初めてだったりする。とても憂鬱だ。何故こんなにも憂鬱なのか。2ヶ月前の心境とは正反対の処にいる自分自身を自分自身が一番持て余している。

 

 

私は1ヶ月半ほど前まで受験生だった。夢を抱いていた受験生だった。

後輩や先輩がお祭りに行って打ち上げ花火を楽しんでいる時、私はそれを予備校の窓から遠目に眺めているだけの受験生だった。

後輩は沖縄に修学旅行、先輩は海外へと旅立っている時、私は必死に机に向かうだけの受験生だった。

後輩はクリスマスパーティー、先輩はスキー旅行を楽しんでいる時、私は体調を崩さないよう規則正しい生活を心がけるだけの受験生だった。

大晦日、毎年観ていた紅白はみなかった。ジャニーズカウントダウンは観た。そこだけは自分に厳しくすることができなかった。

 

結構自分を追い込んだ受験勉強のおかげか無事第一志望には合格できた。E判定しかとったことのない大学だった。大健闘である、アッパレ。

 

しかしココロに一つ引っかかるものがある。

 

鮭おにぎりだ。

 

私は毎日予備校に通っていた。平日は学校終わって予備校、休日は朝から予備校。授業のない日だって毎日通った。話したことも名前すら知らない予備校ですれ違うだけの人たちに呑み込まれる夢さえ見るほど予備校に通い詰めていた。

母は私に夕飯用の大きなおにぎりを毎日作ってくれた。中身は9割鮭である。

 

毎日である。夏休みからほぼ毎日である。たまにおかかに変わったりもしていた。しかしほぼ毎日わたしの夕飯は鮭おにぎりだったのだ。おにぎりが一番食べるのが楽だった。受験生の私は時間に何よりも敏感になっていた。食べる時間があるなら勉強、お風呂にゆっくり浸かる時間があるなら勉強、寝る時間だけはしっかりとっていた。

そんなタイムイズマネー状態の私におにぎりという食べ物はちょうど合っていた。十分くらいで夕飯を終えていた、鮭おにぎり。

 

私は鮭おにぎりが好きだった。

 

好きだった食べ物が嫌いになる経験は初めてだった。でもこういうことって何にでも置き換えれるんだろうな。好きだとしても毎日それだと飽きちゃう。好きなものを嫌いにならないためには距離感って大切だよね。人間関係でも趣味でもなんでもさ。一線を超えちゃうともう嫌になってしまう。そこのラインを上手く見極められるような人に早くなりたいと思う。